【焦点課題】よみうりランド 代表取締役社長  溝口烈氏に聞く


溝口社長

比類なきホスピタリティの追求

安心・安全な社会づくりに貢献 Gタウンで地域ににぎわいを

 ――経営理念は。

 「収益の柱は、『遊園地・健康関連事業』『ゴルフ事業』『公営競技事業』に大別される。社長就任後、各事業現場を回ってみて、異なる事業部門でも、幸せな時間をお客さまに過ごしてもらうホスピタリティの気持ちが共通していることに気付いた。『遊びを、まん中に。』のスローガンのもと、社員としては『お客さまの笑顔を、まん中に』という姿勢でお客さまをお迎えしている。この企業風土に磨きをかけ、『比類なきホスピタリティ』を目指す」

 「昨年末にTOB(株式公開買い付け)が成立し、当社は読売新聞グループの基幹7社のうちの1社となった。読売新聞の使命は言論・報道によって民主主義、平和主義を守ること。グループ内のエンターテインメント部門を担う会社として、健全な娯楽を提供し、平和の象徴である安心、安全な社会づくりに貢献したい」

 ――コロナ下の業況は。

 「3回目の緊急事態宣言発出に伴い、遊園地は今年4月25日から5月11日まで休園した。過去2回の緊急事態宣言発出時には、遊園地は約3カ月半の休園や営業時間の短縮を行った。昨年3月に開業した植物園『HANA・BIYORI』はオープン日を延期し、その後休園を余儀なくされた」

 「ゴルフ場では、各企業の動きの停滞に伴い、法人会員制のよみうりゴルフ倶楽部が苦戦を強いられた。川崎、船橋の両競馬場は無観客開催が続いたが、ネットでの馬券投票が普及し、馬券売り上げは好調で、賃貸料収入は安定している」

 「分野の異なる事業を複数保有し、ある事業がふるわなくても他の事業で支える収支構造なので、例年と比べ大きく打撃は受けているが、比較的安定した経営が可能だ」

 ――コロナ対策は。

 「東・西日本遊園地協会策定のガイドラインに沿って対応している。入園時の検温、手指消毒、社会的距離の確保、お客さまが手で触れる部分の消毒、屋内施設の換気、従業員の体温チェックとマスク着用、職場での二酸化炭素濃度の測定など、考え得る全対策を実施し、政府や自治体からの休園、時短営業要請にも対応できる体制を整えている。全スタッフが万全の感染対策のもとで業務に従事することも、お客さまへのホスピタリティの一環だと考えている」

 ――コロナ下で好評だった施設活用は。

 「『アミューズメントワーケーション』と題し、昨年10月に遊園地内のプールサイドや観覧車をワークスペースとして提供した」

 ――今年3月に川崎市の6年生を遊園地に受け入れて話題に。

 「昨年6月に川崎市からこの話を頂戴した。同市と教育委員会の『修学旅行が中止になった6年生児童に何とか思い出作りを』とのご判断に、長年地元の皆さんに愛される遊園地として全力で協力したいと考えた。感染対策はもちろん、同市が例年修学旅行先としている日光市で食べる予定だったカレーを同じレシピで用意し、土産を取り寄せて売店に並べるなどアイデアを出し合った。読売中高生新聞の協力で川崎市を学ぶクイズラリーを実施し、学びの要素も取り入れた。何よりもコロナ感染者を出さずに終えられて良かった」

 ――今後の事業展開は。

 「TOBを経て4月に『ボールパーク事業部』を新設した。同事業を四つ目の収益の柱に育てたい。読売新聞グループ最大のエンターテインメントコンテンツであるジャイアンツを軸に、将来的にはジャイアンツ戦の企画運営に携わりながら新たなエンターテインメントを構築していく。具体的には、遊園地に隣接する地に建設中のジャイアンツの新二軍球場を中心とした『TOKYO GIANTS TOWN』構想実現に向け動いている。この新球場を中心とする一帯ににぎわいの空間を創出し、隣接する遊園地との間に新たな人の流れを作りだしたい。同エリア内には不動産会社が分譲住宅も続々と建築中で、地域に密着し、貢献できる事業にしていきたい」

 「現二軍球場内のシートの新装、客席の一部に屋根を設置するなどした。室内練習場の隣接地にはキッチンカーを入れて、ファンの皆さんに飲食を楽しんでもらえるようにしたところ、選手とファンの距離が従来よりも近くなり、非常に人気が高い。イースタンリーグの試合とその周辺にどのようなニーズがあるのかを研究してみると、掘り起こせる需要がまだまだあると分かった。その知見を新球場周辺事業へと生かしていく」

 ――他の施設の開業は。

 「昨年10月に『多摩境天然温泉 森乃彩』を、今年3月には豊かな遊びを提供する『あそびのせかい 流山おおたかの森S・C店』を開業した。TOB成立前の2019年に発表した成長戦略の骨格は残しながら、新規事業展開を含めコロナ後を見据えた戦略へと見直す作業も必要だ」

 ――各施設の来園者へメッセージを。

 「今後もお客さまに選んでいただけるよう、衛生対策に注力し、安心、安全を徹底していく。お客さまの貴重な時間を、安心して最大限楽しんでもらえるよう、ホスピタリティ力に磨きをかけお迎えしていきたい」

 

みぞぐち・たけし=慶應義塾大卒。1983年読売新聞社入社。東京本社広報部長、社会部長、取締役編集局長、常務、専務、大阪本社社長などを経て、2020年6月から現職。熊本県出身。

【聞き手・内田誉紀】

 
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